イーサリアムについて調べてみると、専門用語&IT用語のオンパレードで「一体何を言ってるんだ・・・」ってなったことありませんか?
その代表格の1つといえるのがまさにプルーフ・オブ・ステーク(以下PoS)だと思います。
でも安心してください。
本記事を見ればPoSの仕組みを一発で理解できるだけでなく、仕組みを理解したうえで実際の稼ぎ方まで解説していきます。

難しそうに見えるPoSですが、仕組みを紐解いて見ていくと意外とシンプルなんです。
記事前半ではプルーフオブステーク(PoS)がどんな仕組みなのか?メリットやデメリットを解説。
後半ではプルーフオブステーク(PoS)の将来性や稼ぎ方を分かりやすく具体的に解説していきます。

そもそもプルーフ・オブ・ステーク(PoS)って何?
結論からいうと、PoSとはイーサリアムに使われているコンセンサスアルゴリズムです。
イーサリアムはもともとPoW(プルーフ・オブ・ワーク)という、ビットコインでも使われている方式を採用していましたが、2022年の大型アップデート「The Merge(ザ・マージ)」によって、PoSに切り替わりました。

とまあ、いきなり「コンセンサスアルゴリズムです」とか言っても意味わからないと思うので簡単に説明します。
PoSがどんなルールなのかというと、「ETHを一定期間預けた人の中から抽選で、ブロックの作成者(=バリデータ)が選ばれる」というものです。
そして、そのブロックが正しいと承認されると取引が成立し、バリデータに報酬としてETHが支払われます。

ブロックとは、その時間内に行われた取引をひとまとめにして記録する箱みたいなものをイメージすればOKです。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組み
ここからは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)がどのような仕組みで動いているのかを以下の4つに分けて解説していきます。
イーサリアムの取引が発生~承認されるまで
PoSでは、ETHを一定数以上預け入れ(=ステーキング)している人の中から、ブロックを作る役(=バリデータ)が抽選で1人選ばれます。
ちなみにこの抽選は完全な運ゲーではなく、ステーキング量が多いほど当選確率が上がる仕組みになっています。
そして、選ばれたバリデータは取引をまとめてブロックに書き込みます。
ただしこの時点では、まだブロックは仮の状態です。

「この仮のブロック、本当に正しいの?」
そんなチェックをするのが、他のバリデータたちの役割です。
ETHを預けている他のバリデータたちが「このブロックに賛成!」と投票(=アテステーション)し、多数決で決まることで初めてそのブロックは正式に承認されます。
そして、承認されたブロックを作ったバリデータには報酬としてETHが与えられます。
バリデータは2種類存在する
先ほどの説明で、ブロックを作る役(バリデータ)が2種類いることが分かったと思います。
「取引記録をまとめたブロックを作るバリデータ」と「そのブロックが正しいかを確かめて投票するバリデータ」ですね。
ここでは、各バリデータの役割をもう一度整理していきます。
👦提案者(プロポーザー)
最初に抽選で当たって、取引記録をまとめたブロックを作るバリデータ。
この人は、取引データをまとめてブロックを組み立て、「このブロックを提案します!」とネットワーク全体に放送する。
例えるなら「会議で発表する担当者」みたいなイメージ。
👫投票者(アテスター)
プロポーザーが提案したブロックが正しいかどうか確かめて投票するバリデータ。
プロポーザーが作ったブロックに対して、「OK!このブロックは正しい!」と投票(=アテステーション)する。
複数のバリデーターがこの役割を担っていて、多数決でブロックの正しさが判断される。
例えるなら「会議でうなずいて賛成する参加者」みたいなイメージ。
ステーキングするには32ETH以上が必要
PoSの仕組みでは、ブロックの作成や承認を行う「バリデータ」になるために、最低でも32ETHをステーキングする必要があります。
つまり、PoSに直接参加して報酬を得たいなら、32ETH(日本円で約1670万円※執筆時点)を預け入れる必要があるということです。

「え、ちょっと待って。庶民は無理ゲーじゃん…」
こう思いますよね…。
ぶっちゃけこれはその通りで、実際に32ETHを個人で持ってる人はごく一部に限られてきます。
そのため、多くの人は「取引所のステーキングサービス」を利用して、少額でもステーキングに参加しています。

ステーキングサービスについては後ほど解説するのでご安心ください。
スラッシングとは?罰則制度の話
少し応用的な話になりますが、PoSにはスラッシングという罰則制度があります。
スラッシングとは、バリデータが重大なルール違反をしたときに、預けているETHの一部または全部が没収される罰のことです。
主なスラッシングの要因は以下の通りです。
このように、スラッシングは不正行為や重大なミス行為に対して行われる罰則です。
ただ、実際のところ意図的にルールを破っているケースはそう多くはないんです。
なぜなら、バリデータはブロックの生成から検証・承認までを全て機械に任せていることが多く、スラッシングの原因のほとんどは機械の不具合やバグだからです。
なんでこういう仕組みになっているの?
「そもそも、なんでこういう仕組みになっているの?」こう疑問に思った人もいるかもしれません。
その理由は、大きく分けると以下の3つです。
消費電力を少なく抑えられる
1つめの理由は、消費電力を少なく抑えられる点です。
例えば、ビットコインに使われている「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」というコンセンサスアルゴリズムでは、世界中のコンピューターが一斉に膨大な計算作業を行い、最も早く正解を出したマシンがブロックを作成するという方式が採用されています。

この仕組みでは、常に計算用のマシンをフル稼働させる必要があるため、莫大な電力を消費してしまうという欠点があるんです。
一方で、イーサリアムのPoSでは、ETHをステーキングしている人の中からランダムで選ばれたバリデータが、取引の承認を行います。
この方式では、大量のマシンや計算処理が不要なため、圧倒的に消費電力を抑えることができるのです。
ネットワークの安全性、安定性の維持
2つ目の理由は、ネットワークの安定性、安全性を維持する為です。
PoSは、みんなが大切なETHをたくさん預けて参加することで成り立つネットワークの仕組みでしたよね。
この仕組みのポイントは、「大量のETHを預けている人ほど、ブロックの作成などの重要な役割を担える」という点にあります。

つまり、もし攻撃者がネットワークを乗っ取ろうとするなら、それ以上に大量のETHをステーキングしなければならず、現実的には非常に厳しいです。
また、ステーキングしたETHは一定期間ロックされるという仕組みもあり、市場に出回るETHは減少。
その結果、売り圧が減り、価格の安定にもつながるというメリットもあります。
ETHをたくさん持っている人がネットワークの安定に貢献できる
3つ目の理由は、ETHをたくさん持っている人がネットワークの安定に貢献できる点です。
PoSでは、「どれだけETHをステーキングしているか」が、ネットワークへの影響力に直結します。
この仕組みには2つの意味があります。

誰に命令されてるわけでもなく、仕組みだけでネットワーク全体の信頼性が保たれています。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のメリット
ここからは、PoSのメリットを4つ解説します。
環境に優しい
1つ目のメリットは、環境に優しいことです。
PoSは、消費電力が少ないことから、地球環境に配慮された仕組みとして注目されています。
実際、PoWでは世界全体で年間1,200億〜2,400億キロワットもの電力を使っており、これはアルゼンチンやオーストラリアといった国の電力消費量に匹敵します。
一方、PoSはそのわずか1%未満の電力で運用可能です。

このように、PoSは今注目されている「脱炭素化社会」という社会情勢にマッチしている仕組みになっています。
初期コストが安い
2つ目のメリットは、初期コストが安いことです。
PoSでは、特別な機材や高性能なマシンを用意する必要がありません。
インターネット環境とパソコン1台さえあれば、ネットワークの運営に参加できる仕組みになっています。
これに対して、PoWでは何十万円、何百万円もする専用の機材を大量にそろえる必要があり、個人が参加するには非常にハードルが高いのが現実です。

PoSなら、資金力や設備環境に関係なく、技術さえあれば誰でもチャンスがあります。
セキュリティが強固
3つ目のメリットは、セキュリティが強固であることです。
繰り返しになりますが、PoSのバリデータはETHを一定量以上ステーキングしている人の中から選ばれます。
つまり、悪い人が不正をしようと思ったら、それ以上のETHを用意して参加する必要があります。

ETHを大量に買い集めるのはそもそも難しく、市場価格を押し上げてしまって買えば買うほどコストが増すという罠もあります。
さらに、ブロックが承認されるにはアテスターたちの投票による賛成が必要です。
この多数決によるチェックがあることで、仮に悪意あるバリデータがいたとしても、1人でネットワークを支配することは現実的に不可能です。
保有しているだけで稼げる
4つ目のメリットは、ETHを保有しているだけで稼げることです。
PoSでは、ETHをステーキングすることで、ブロックの生成や承認に貢献したバリデータとして報酬(ETH)を受け取ることができます。
そして実際には、これらの作業はすべてネットワーク上で自動的に処理されるため、一度ステーキングを設定してしまえば、特別な操作をしなくても報酬が発生するという構造になっています。

まさに、持っているだけで資産が増えるのがPoSの魅力のひとつです。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のデメリット
ここまで様々なメリットを解説してきましたが、欠点がないわけではありません。
ここでは、PoSのデメリットを4つ解説していきます。
お金持ちが有利になりやすい
1つ目のデメリットはお金持ちが有利になりやすいことです。
PoSの仕組みでは、ETHを多く保有している人ほどバリデータに選ばれやすくなります。

つまり、資金力のある人ほどブロック作成のチャンスが増え、報酬としてさらにETHを獲得できるという構図になりやすいんです。

このように、お金持ちがさらにお金持ちになるループが生まれやすくなります。
このように、PoSは富の集中を招きやすい側面があり、次に説明する「中央集権化のリスク」にも繋がっていきます。
中央集権化のリスクがある
2つ目のデメリットは、中央集権化のリスクがあることです。

僕たちの身近のほとんどの組織は中央集権的な運営をしていると言えます。
PoSは、ETHをたくさん持ってる人がステーキングすることでバリデータとして選ばれ、ブロックの作成、ブロックを承認する権利を得られます。
逆の見方をすると、ETHをたくさん持ってる人がネットワークの主導権を握るリスクがあるということにもなります。
もちろん、悪意を持って主導権を握ろうとする行為はスラッシングという罰則制度によって罰を受けますが、悪意がなくてもしれっと権力をふりかざす立ち回りはできてしまうということです。
スラッシングリスク
3つ目のデメリットは、スラッシングによる罰則リスクがあることです。
繰り返しになりますが、スラッシングとは、PoSのネットワークで不正な行為を行ったバリデータに対して科されるペナルティのこと。
具体的には、ステーキングしていたETHの一部、あるいは全額が没収される可能性もあります。
ただ実際には、悪意を持って不正を働く人はごく少数です。

問題なのはむしろ「悪意がなくてもスラッシングされる可能性がある」という点にあります。
というのも、バリデータの作業は人間の手作業ではなく、機械によって自動化されています。
そのため、システムのバグや設定ミスによって、意図せず不正と判断される挙動をしてしまうこともあるんです。

結果的に「え、こっちは何も悪くないのに、スラッシングでETH没収されたんだけど?」というケースも実際に起きています。
ステーキングすると一定期間引き出せない
4つ目のデメリットは、ステーキングしたETHがすぐには引き出せないことです。
PoSでは、ネットワークの安定性や価格の急変を防ぐために、ステーキングしたETHに引き出し制限が設けられています。
つまり、「報酬がもらえるから」といって気軽にステーキングすると、必要なときに資金を動かせなくなるリスクがあるんです。
これは、仮にETHの価格が急落したとしても、すぐに売却できず損失を抱える可能性があるということでもあります。

このような仕組みには「価格操作や短期的な売り抜けを防ぐ」という目的がありますが、バリデータや投資家にとっては、資産がロックされること自体が大きな不安要素になることもあります。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の今後と将来性は?
ここまで、PoSの仕組みやメリット・デメリットについて解説してきました。
そこで、PoSがこれからどのように進化していくのか気になる人もいるかと思います。

ここでは、PoSの今後の展望や、注目される理由について解説していきます。
アップデートによる継続的な進化
イーサリアムなどのPoSチェーンは、今も成長を続けています。
すでに、「Shanghai」「Dencun」「Pectra」といった大型アップデートによって、取引の処理速度や使いやすさが大きく向上しました。
今後も、次のようなアップデートが予定されています。
今後のアップデート内容
・Verkle Tree(ヴァークルツリー)
ノードのデータ構造を軽くして、誰でもネットワークに参加しやすくなる技術。これにより、より多くの人がバリデータとして参加でき、分散性が高まる。
・EIP-4844(プロト・ダンクシャーディング)
レイヤー2(=イーサリアムの補助ネットワーク)の取引手数料を大幅に下げるための仕組み。より安く、快適にアプリを使えるようになることが期待されている。
また、イーサリアム以外のPoSチェーンでも、独自の技術改良が進められており、ブロックチェーン全体が日々アップデートされています。

PoSは「一回作って終わり」って感じの仕組みじゃなくて、常にアップデートされて進化する設計になってるんです。
アプリやサービスの拡大
イーサリアムのPoSチェーンは、たくさんの人が使ってもスムーズに動かせるように改良が進められています。
今までは「遅い」「手数料が高い」といった課題がありましたが、最近では処理の速さや料金の安さがどんどん改善されています。
こうした改良によって、いろいろなサービスが使いやすくなりました。
代表的なサービス
・DeFi (個人でお金のやり取りができるサービス)
・NFT(デジタルアートの売買)
・Dapps(ゲームや仮想空間内のアイテム)
・ステーブルコイン(円やドルの価値と連動する暗号資産)
こういったサービスがどんどん増えることで利用する人や開発する人が集まり、市場全体の成長が加速しています。

PoSの導入で使いやすさが増し、ブロックチェーンの新しいアプリやサービスがどんどん広がっています。
環境にやさしい仕組みとしての注目
先程もお伝えしましたが、PoSは従来のPoWと比べて圧倒的に電力消費が少ないのが特徴です。
イーサリアムはPoSへの移行によって、消費電力を約1万分の1に削減したとも言われています。
この環境にやさしい設計は、脱炭素やサステナビリティが求められる今の時代において、世界的にも高く評価されています。
特にEUなどでは、環境負荷の大きい暗号資産に対する規制の動きも始まっており、PoSはその中で存在感を強めています。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)で稼ぐ方法
ここまでは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みやメリット・デメリット、そして将来性について解説してきました。
ここで多くの人が気になるのが、「で、結局どうやって稼ぐの?」という点ですよね。
PoSを活用して報酬としてETHを得る方法は、大きく分けて次の2つです。
32ETHで直接バリデータになる(難易度高)
まず1つ目は、32ETHを自分でステーキングして、報酬としてETHをもらう方法です。
これはイーサリアムのPoSにおける「王道」ではありますが…。
正直、ほとんどの人にとっては無理ゲーです。
なぜなら、32ETH=約1670万円(※執筆時点)もするからです。

「そもそもその、1670万円を手に入れるために資産形成してるのに…」って思いますよね…(笑)
でも安心してください。
次に紹介する「取引所のステーキングサービス」を使えば、もっと少ない金額からでも報酬を得ることができます。
取引所のステーキングサービスを使う(おすすめ!)
2つ目の方法は、取引所が提供しているステーキングサービスを使うことです。
この方法なら、少額の資金でも気軽に始められるので、誰でも手軽に運用が可能です。

「え?でも32ETHないとステーキングできないんじゃないの?」
こう思った方がいたら、素晴らしいです!ここまでの説明をしっかり理解している証拠ですね。
かんたんに仕組みを説明すると、「取引所がユーザーからETHを集めて32ETH以上にし、バリデータとして稼働。そして、その報酬の一部をユーザーに分配する」といったものになります。
つまり、「みんなで協力してバリデータになる」感じをイメージすればOKです。

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以上です。